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WBS:Work Breakdown Structureの組み立てはプロジェクトの品質を左右する

2014.12.22

ビジネス

どんなサイズのプロジェクトでも、プロジェクトの全体スケジュールとタスクを管理できると、精度や品質が高いプロジェクトになります。

「WBS:Work Breakdown Structure」と呼ばれる構成図はとっても大切です。
WBSはプロジェクト管理やプロジェクトの品質にとっても大切なので、記事にまとめてみます。

WBSの具体例

WBSとは下記のように、タスク・作業を細かく分けて、「担当者」「進捗度」「スタート・終了予定」「成果物」などを一覧にしてツリー上にしておいた構成図です。
WBS-ITpro
図3 WBSによるワークパッケージの定義の例 ITpro

慣れないと細かくていやになりますが、MECEでプロジェクト全体を考えてアウトプットするにはWBSの必要項目は整理がしやすく分かりやすく使いやすいです。ぜひ活用しましょう。

まず何から着手するか

最も大切なことは、必要な全作業を細かくアウトプットするということです。MECEでアウトプットです。

こちらの記事「ロジカルシンキング:MECEは考え方の基本 – コロンバスのブログ」でもMECEは重要性を伝えていますが、やっぱり大事。

 
例えば、年賀状を届けるという家族のプロジェクトを考えてみましょう。

年賀状プロジェクトを組んでみる

家族4名(父・母・子供2名)が1月1日に年賀状を皆さんに届ける、というプロジェクトを仮定して、組み立ててみます。まずは大枠の業務をアウトプットしてみます。

<年賀状プロジェクト>
■大項目
○年賀状を買う(無地・インクジェット)
○デザイン・印刷面を決める
○宛名をリストにする
○印刷する(印刷面・宛名面)
○手書きメッセージを書く
○投函する

大枠で言うと、「年賀状があって」「印刷面と宛名面が正しく印刷できて」「投函」さえできれば、ばっちりお届けできます。
このように大枠を抑えることもとても重要です。

長期プロジェクトではこの大項目アウトプットが大切で、大項目ごとにリーダーを決めてチームを編成することもあります。
また大項目をマイルストーンにプロットすることで、毎月の進捗として進行や遅れを確認していくこともよくあります。

 
次に、もう少しブレークダウンします。

■大項目+中項目
○年賀状を買う(無地・インクジェット)
 枚数を決める
○デザイン・印刷面を決める
 デザインを買う(イラスト)
 印刷面データを作る

○宛名をリストにする
 喪中の方を確認する
 昨年届いた年賀状を確認する
 今年新しく送る方を確認する
 (上記、父母子2名の4人分行う)

○印刷する(印刷面・宛名面)
○手書きメッセージを書く
○投函する

こんなところでしょうか。

中項目をアウトプットしていたら、「年賀状を買う」は「枚数を決める」が決まらないと買えないことが分かりました。※当たり前か(笑)。

となると、宛名を正しくリストにすることが重要です。

年賀状の場合、大抵はおよその枚数を予備も含めて買ってしまうと思いますが、プロジェクトによって、タスクを割り出す中で「思っていた作業順が前後すること」がよくあります。

プロジェクトのタスクの割り出しを多く行っておかないと、プロジェクトが進む中で、必要な作業が後手に回り、進捗が遅れていく、ということになります。そういう意味でも、WBS、タスクのアウトプットは大切です。

リスクをヘッジする

次に、リスクポイントを同時に考慮します。リスクを考慮すると、抜け漏れを防ぐことにもつながります。

このあたり、リスクを考えることが好きな人は身の回りにも多いと思いますので、一度チェックをしてもらうと完成度が高まります。リスクヘッジが上手な人は否定的に聞こえて、プロジェクトに対して前向きでないように感じることが多々ありますが(笑)、あまり嫌がらずに積極的に聞くのが、プロジェクトのためには吉です。

■大項目+中項目+リスク
○年賀状を買う(無地・インクジェット)
 枚数を決める
 ※年賀状購入が遅れると買うのに時間がかかる。以前、複数のコンビニで購入したこともあります。
○デザイン・印刷面を決める
 デザインを買う(イラスト)
 印刷面データを作る
 ※デザインを買っても、手を入れる場合は自分で行うか人に依頼するか検討が必要です。
 ※家族4人の合意を取る場合は、もめる可能性もあります。
 ※間違って送付したら悲劇なので、チェックは十分に行う必要があります。
 ※家族の写真を入れる場合は、写真の選定も同時に必要ですね。なおのこと時間がかかるかもしれません。

○宛名をリストにする
 喪中の方を確認する
 昨年届いた年賀状を確認する
 今年新しく送る方を確認する
 (上記、父母子2名の4人分行う)
 ※10分、20分でできる作業ではないので、しっかりチェックできるように余裕をもった時間が必要です。
○印刷する(印刷面・宛名面)
 ※家庭での印刷の場合、インク切れが起きる可能性があります。事前に購入したほうがよいですね。
○手書きメッセージを書く
 ※子供は特に手書きメッセージやシールを貼ったり、楽しみますので、時間が必要です。
○投函する
 ※日本郵政さんは12月25日までに投函してほしいそうなので、25日が最終締め切りです。

担当者と工数

次に、担当と工数を割り出します。

この担当決めと工数割り出しで事前に必要なことは、「担当者がこのプロジェクトに割ける工数」を確認しておくことです。1日1時間程度しか時間が割けない人に、1日4時間もタスクを割り振っても、当然プロジェクトが遅れてトラブルになります。

また、割り当て作業が得意ではない方は別の方がチェックする時間も必要ですね。

 
この年賀状プロジェクトの場合、我が家もしくは一般ご家庭でもそうだと思いますが、データ作成から印刷までほぼ1名に任されると思います。パソコンが得意な人ですね。そして、父母は働いていたり、日常の仕事があったりと、実際忙しいことが多いです。

ご家庭の場合、忙しくて動けない場合は、なるべくタスクを複数名に振り分けます。土日に集中作業が多くなると思いますが、平日に事前にできることは少しずつ行います。

そうすると、年賀状のリスト作成や年賀状の購入、手書きメッセージのシールなど、事前準備はなるべく皆で分担して少しずつ進めたほうがよさそうです。忘れずにスケジュールも切ります。

つまり、あまりに業務が一極集中するのであれば、業務は分配するのが吉、です。

一人が頑張るプロジェクトでなく、皆が協力するプロジェクト

のほうが成功確率が上がります。

■大項目+中項目+リスク+担当+工数
○年賀状を買う(無地・インクジェット):母・1時間
 枚数を決める:父母・0.5時間
 ※年賀状購入が遅れると買うのに時間がかかる。以前、複数のコンビニで購入したこともあります。
○デザイン・印刷面を決める:全員
 デザインを買う(イラスト):父・1時間
 印刷面データを作る:父・2時間
 チェックする:全員・0.5時間
 ※デザインを買っても、手を入れる場合は自分で行うか人に依頼するか検討が必要です。
 ※家族4人の合意を取る場合は、もめる可能性もあります。
 ※間違って送付したら悲劇なので、チェックは十分に行う必要があります。
 ※家族の写真を入れる場合は、写真の選定も同時に必要ですね。なおのこと時間がかかるかもしれません。
○宛名をリストにする:全員
 喪中の方を確認する:父母・0.5時間
 昨年届いた年賀状を確認する:父母・0.5時間
 今年新しく送る方を確認する:全員・0.5時間
 (上記、父母子2名の4人分行う)
 ※10分、20分でできる作業ではないので、しっかりチェックできるように余裕をもった時間が必要です。
○印刷する(印刷面・宛名面):父・2時間
 インクを買っておく:母・0.5時間(ネット注文)・印刷2日前まで
 ※家庭での印刷の場合、インク切れが起きる可能性があります。事前に購入したほうがよいですね。
 ※インク購入は
○手書きメッセージを書く:全員・2時間
 ※子供は特に手書きメッセージやシールを貼ったり、楽しみますので、時間が必要です。
○投函する:誰か・0.25時間・12月25日まで
 ※日本郵政さんは12月25日までに投函してほしいそうなので、25日が最終締め切りです。

スケジュール立て

スケジュールを組む時は、時間の工数だけではなく、チェック時間や連絡時間も考慮したほうがよいです。
成果物にはなりませんが、しっかりチェックバックをしてもらう時間はクライアント仕事ではとても大切。

そのため、1時間作業だったとしても、そのあとの確認などで時間がかかることもよくありますし、連絡が取れないということもあるので、実際のスケジュールをWBSに落とす時には余裕を持たせておいた方がよいですね。

年賀状プロジェクトはこんな形にしてみました。忙しい父母を考慮したやさしい時間配分です。
年賀状プロジェクトWBS(簡易)


人数が多くなればなるほど、WBSは複雑になり、すぐに全タスクをアウトプットすることはむつかしいです。

同時にWBSを細かく組み立てができるのは、プロジェクト全体を現場レベルで細かく理解できている人でないと、描くことはできません。

もし、プロジェクト経験が少ない中でWBSを組み立てる場合は、関係者にとにかくヒアリングです。嫌がられてもヒアリングをする。一人ではなく複数名で作り、レビューをする。数時間、レビューの時間を作るだけでプロジェクトの質が高まります。

WBSは定期的にメンテナンスすることが大切です。

ただし、WBSを作成することが仕事ではなく、プロジェクトの完成度や品質を高めることが大切ですので、ホウレンソウや確認、指示出しを行う中で、ドキュメントは後になることもあると思います。根詰めてWBSを組み精度を高めるのではなく、プロジェクトメンバーが全体を把握し、抜け漏れなく各担当が動けて業務に取り組めることに注力して、WBSを活用したいですね。

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