企業内の新規事業と、起業の違い

inazuma

大企業の新規事業も、数名の会社の新規事業も、起業も体験して思いますが、それぞれ少々事情が異なります。成功するとき、失敗するときの分岐点がそれぞれあります。

成功と失敗の分岐点を整理しようと思いました。
※昨今ニュースを騒がしているVCからの出資を狙うようなスタートアップとは異なります。短期的な事業を組み立ててEXITを狙うのではなく、長期的に継続可能なビジネスを組み立てる場合の話です。

既存事業は新規イノベーション事業を妨害する

そんなことを考えているときに見つけた記事。
シリコンバレー流! 達人に学ぶ起業スピリッツ – 企業内ベンチャーは、なぜスタートアップ企業とは違うのでしょう:ITpro

最初に、スティーブのポストから得た私の洞察を要約します。スタートアップ企業とは、繰り返しが可能で、拡張できるビジネスモデルを探し求める、一時的な組織です。対照的に、既存の企業とは、繰り返し可能で、拡張が可能なビジネスモデルを遂行するようにデザインされた、恒久的な組織です。これは簡単な説明ですが、深遠な洞察です。既存の企業が新規のビジネスモデルをイノベート(創出)したい時ときに(既に拡張されたビジネスモデル内で、新しい製品とかサービスをイノベートするのではなく)、既存の企業が事業遂行を最も効率的に行うプロセスは、新しいビジネスモデルを探し求めるのに必要なプロセスを必然的に妨害します。

スタートアップ企業:拡張できるビジネスモデルを「探し求める」、「一時的な」組織。
既存の企業:拡張が可能なビジネスモデルを「遂行するようにデザインされた」、「恒久的な」組織。

なるほどなと思いました。

そして、こちら。

企業内ベンチャーは企業内部で、二番目の戦線を同時に戦わなければならないのです。二番目の戦線とは、企業内ベンチャーを立ち上げるために企業内部から許可、保護、資源などを確保し、その後、時間が経過するにつれて、必ず発生する問題が起こったときに支援してもらえるよう、内部関係を維持しなければなりません。

例えば当初、企業内ベンチャーは会社の販売部門との軋轢を緩和するために、会社の既存の顧客を入れないようにピボットするかもしれません(販売部門は、現在の製品を大量に販売したいので、将来多量に生産されないかもしれない、ごく少数の製品の検証はしたくありません。さらなる問題は、新しく販売されるかもしれない製品によって、顧客が現在の製品を買い控えることです)

 このことは、企業内ベンチャーが企業内サポートを長期的に維持できるように、企業内部の組織は注意深く計画され、準備されて構築される必要があることを意味します。この準備を怠った企業内ベンチャーは、イノベーションに対する当初の熱意が弱まった途端、すぐに危険にさらされます。会社の業績が単一四半期悪かったり、社内の重要な支持者の1人がいなくなったり、新しいCEOが就任し事業の見直しとするとか、これら予期してなかった出来事の1つでも起これば、準備をしていなかった企業内ベンチャー・プログラムは破滅に陥ります。

過去の個人的な経験として事例があります。

100億規模になった企業で新規事業を行った際、既存事業とのシナジーを生み出すための活動を必須で求められ、かつ売上も求められました。しかし、既存のクライアントではなく新規で獲得したクライアントに既存事業を提供した場合、残念ながら新規事業の売上にはならなかった。

既存事業と新規事業の区分けをしっかり行っておらず、社内連携や売上分担、組織や担当の分担の設計ができていなかったわけです。

私はこのようなことはそういうものなのかと思っていましたが、事業家のメッセージとしての本記事を見ると、多くが陥る失敗例のようです。

小規模企業の新規事業の場合、人材面が課題

規模が小さい企業の新規事業の場合、投資が少ないことと、既存事業の影響も小さいため、社内の既存事業からの影響はさほど多くありません。

しかし、規模が小さい企業は企業のブランド力や社内の整備も不足しており、もっとも苦労するのは人材採用面、体制構築面だと思われます。

場合によっては、競合とぶつかっても、規模が小さいことと獲得優先で価格で勝つことも可能でしょう。しかし、長く続けることはできません。上記の記事にあるとおり、「繰り返しが可能で、拡張できるビジネスモデルを探し求める」わけですので、価格でしか勝てないビジネスでかつ規模が小さい場合は大きくなるしか手がないのです。

つまり、小規模企業における新規事業では、既存の社内人材の活用と成長を同時に行う、リーダーシップとマネジメントの両立が不可欠になります。現場のスーパーマンが必須です。

難易度は高いですが、世の中にたまにいます。スーパーマン。しかし、スーパーマンは何人も集まりません。外部からの一般採用や紹介採用を行わなければなりませんが、そんな小さな企業でリスクを負って新規事業を行う人材はなかなか取れないわけです。

急成長している企業は経営者、とくに社長が自ら身を削って新規事業を立ち上げますが、なかなか成功しないのは、No2が集まらないためです。

そしてNo2もNo3人材を求めるわけです。早期にMVP(最少機能で販売可能な製品)を発見しなければほぼ成功しません。

起業の新規事業は、現場力と資金力

起業の場合、何かしらの得意事業で基礎基盤を持っていることが多くあります。そうでなければなかなか起業はできません。

そのような得意事業の基盤を保ちながら新規事業を行う必要があるため、とにかく業務をこなしきる現場力と資金力が必要です。

どんなに営業が得意であっても、新規事業で運営基盤が弱ければすぐに顧客は離れていきます。その際顧客を引き留めておく現場力は相当なレベルを求められます。大手企業のマネジャーをやっていました、という社長の起業は多くの場合苦労しています。

現場力がどんなに高くても、収支を安定させながら新しい事業を取り組むことはとても困難です。

そこで必要になるのは資金力です。
得意事業の基礎基盤の中で、任せられる業務をなるべく社内外の人材に任せていく。マネジメント力があれば、現場に投資をしながら新規事業を組み立てることも可能です。

ただし、ここでも現場のマネジメント力が必要になります。

企業としての現場力と資金力。

この2点が片方でも欠けると「起業したのにやりたいことがやれない。。。」ということになりかねません。コンサル型の企業、企画型の企業には多いと思います。

 
起業では、人・物・金・情報をすべて自分たちで努力して獲得しなければならない大変さがあります。そして、起業をした企業や社長なんて、信用力が非常に低い。銀行も目を向けてくれない。

しかし、すべて自分起点のため、対応の方法や手段が極めてわかりやすい。経営者自身が自分を変化させれば対応ができる。自由度が高い。リターンも大きい。強くビジョンを持つのであれば自分のビジョンを実現できるのは起業しかありません。それらが起業を行うメリットだと思います。

 
企業内起業では、会社の既存事業や経営者から事業に対して大きな影響を受ける。しかし、会社のブランド力や既存事業が活用できる。社内のコミュニケーションが柔軟に取れれば最大限事業を大きくしていけるでしょう。

 
それぞれ、デメリットもありますが、すべて解決できない問題はありません。

生きているうちに数回新規事業を起こさなければならないようなビジネスが衰退してしまう時代。違いを理解してポイントを押さえて事業企画から推進を行えることが、さまざまな新規事業がある中で、今後の事業リーダーやプロデューサーには求められると思います。