COLUMBUS PROJECT

BtoBブランディング戦略の手法と効果

2018年7月12日


ブランディングは自社の製品やサービスを社会に広く認知させ、競合他社との差別化を図るために重要な施策です。ブランディングといっても企業の狙いや戦略で手法や効果も違います。
BtoB企業のマーケティング担当者にとってBtoBブランディングは、売り上げへの影響がわかりにくいこともあって必要だと感じても、どう着手すればいいか、悩むことも多いのではないでしょうか。

今回はBtoBブランディングの必要性や効果および手法についてご紹介したいと思います。
 

BtoBブランディングとは?

ブランディングとは、社会に広く企業とその製品、サービスについて共通イメージを持ってもらうことです。

BtoB企業のブランディングは潜在顧客、社会に対して自社の認知度を高めて良いイメージを持ってもらう取り組みです。

企業を取引先とするBtoB企業ではブランディングに対して消極的な印象があります。けれども、取引先が最後に「どちらの会社にするか」を決める場合、大きく影響されるのが「あの企業の製品なら信頼できる」「あの会社の対応なら安心だ」といった知見やイメージです。
ブランディングが上手くできれば会社を選んでもらう決定力になりますし、長期的な取引につながることも可能です。
また、ブランディングで企業のイメージが明確になれば、人材の確保にも役立ちます。
 

BtoBブランディングの必要性を社会的要因から考える

BtoBブランディングは本当に必要なのでしょうか?社会的要因から考えてみたいと思います。
考えられる社会的要因としては、次の3つが考えられます。

・ 企業のグローバル化による海外発注の増加
企業が海外進出を進める中で、一部の部品や材料を海外の企業に発注することが多くなってきました。こうした中で新規取引拡大の必要はどんどん高まっていると言えるでしょう。新規開拓の営業活動において、アポイントが取れるかどうかはブランド力の有無も大きく影響することは間違いありません。

・ 製造や設計技術のデジタル化によって進んだ「標準化」による価格競争や見積もり競争の激化
設計・製造段階の技術のデジタル化が進み、多くの製品分野で性能や品質の差別化が難しくなっています。これによってどこからでも一定水準の製品が調達できるようになってきました。当然、価格競争や見積もり入札の競争も激化します。
こうした状況下で打つ手として考えられるのは、「モノの提供」だけではなく「ソリューソンの提供」ではないでしょうか。ソリューションの提供は購入の動機づけにもなります。
ただソリューションとなれば、部署をまたぐ問題や経営に関係する課題もあるので、問題解決をクライアントと行うには、互いの信頼関係が必要となります。そこにはやはり会社のブランド力が必要となってくるに違いありません。

・ 人材難による技術継承の遅れ
少子高齢化により、技術を継承する若手の人材の確保がどの企業でも難しくなっています。自社ならではの技術やノウハウを継承できなければ品質維持が難しくなったり製品やサービスの提供が滞る恐れもあります。
またBtoB企業の場合、製品やサービスが一般生活者の目にふれたり話題にされることが多くありませんので、社会的認知度を高めることは重要な課題と言えるでしょう。
 

BtoBブランディングの手法と効果

社会的要因からBtoBブランディングの必要性を確認しましたので、次は手法とその効果についてご紹介します。

手法1:コーポレートブランディングの構築

コーポレートブランディング(企業ブランディング)とは企業のブランドを構築し、企業の価値を高めること、つまり企業全体のイメージや価値を向上させることをいいます。
それは単にロゴデザインを変更するといったことではありません。最近では、意識の高い消費者やそれを顧客とする企業も含めた多くの潜在顧客が環境への取り組みをはじめとしたCSRやコンプライアンスなどに対する企業の姿勢を評価して購入する時代になっています。だからこそ、企業のイメージの重要度が増しています。
コーポレートブランディングを確立することによって考えられる効果は以下の通りです。

・IR効果
ブランディングイメージの「期待」や「信頼度」が高まれば、銀行や投資家などに好印象を与えられ。資金調達面で効果を発揮することができます。

・採用への効果
人材の確保は重要な課題です。知名度がないとどのような会社なのか、どのように仕事をするのか、イメージが湧かず、新卒や若手の検討対象にも入らない可能性もあります。このような時にコーポレートブランディングが役に立ちます。

・インナーブランディング(社内における価値観の共有)
企業のブランディングを構築することで、社内で働く人たちにも誇りとやりがいを持つことができます。社員一人一人の意識が変われば、仕事に対する取り組み方や考え方も変わります。長期的に見れば、製品やサービスの品質向上、社員の業務効率向上などに大きな効果を発揮します。

手法2:ソリューションブランドの確立

ソリューションブランドとは、「その会社がどういう問題を解決してくれるのか」というブランドのことです。「ソリューション」とは日本語で「問題解決」という意味ですが、その会社がどういう課題を解決してくれるのか、何ができて、何が得意なのかということが企業名からわかるようにブランドを確立することです。〇〇に困ったらあの会社に相談してみようという「問い合わせ」や「相談案件」につながります。
「何が得意かわからない」「どのようなビジネス課題を解決してくれる企業かわからない」という状況では、問い合わせることもできませんし、「相談案件」や「引き合い案件」の増加にもつながりません。

例えば急に大人数で開催する会議が入ってしまい、すぐに追加で机と椅子のセットが必要になった場合、「机と椅子ならあの会社に頼めばすぐに届く」ということをすぐに思い付くことができれば、ソリューションブランドが高いということです。この時に必要なのは、先ほどの「企業ブランド」ではなく、「頼めばすぐに届く」というソリューションがあるかどうかということになります。

このようにソリューションブランドを確立することができれば需要が生まれ、ニーズが顕在化した瞬間から、競合他社よりも有利なポジションを築くことができます。

手法3:技術ブランディングの確立

技術ブランディングとは販売する製品ではなく、企業の保有する独自の技術やノウハウ、素材、部品、システムなどに焦点を当て、「技術ブランド」として構築することです。
最近の広告では、製品の名称以外に独自の技術に分かりやすい名称を付けて、顧客に宣伝する手法が増えています。
技術ブランディングの効果には、見えにくい「技術」を可視化して認知度を拡大したり、競合他社と差別化して価格競争のみにならないようにできること、顧客のロイヤルティの向上などがあります。すぐれた技術を持つ企業は、先進的な開発体制や優秀な社員がいることの証明にもなり、会社のイメージアップにもつながります。
 

まとめ

BtoB企業のブランディングの必要性・手法・効果について紹介しました。
BtoBブランディングの重要度は年々増しています。
ブランディングを実際に構築する時には、会社、製品、サービスなどが持つ特性や実績を十分に検証することが大切です。
そのためには、3C、4P分析やSWOT分析などのフレームワークを活用して、「自分たちの強みと弱みは?」「いま自分たちはどのポジションにいるのか?」「競合はどこに位置しているのか?」「差別化の方向性は?」など多方面から事業内容や会社の特性を見直すことからはじめましょう。

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