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BtoBでコンテンツマーケティングを成功させるために

2018年12月17日

コンテンツマーケティングは潜在顧客や見込み顧客にとって価値ある適切なコンテンツを作り、継続的にコミュニケーションをとっていくことで最終的には利益につながる行動をしてもらうことを目的としたマーケティング戦略のことです。

「コンテンツ」というのは、一般的に紙媒体、web、音声、映像などメディアに掲載される全てを指します。一つの商品やサービスに使うコンテンツは決して1種類とは限りません。認知獲得のために必要なコーポレートサイトやメディア記事、プロモーション動画などのコンテンツから購買行動に移行してもらうために理解を深めてもらうイベントやセミナー、商品カタログなど様々です。

では、どんな時にどんなコンテンツを使うべきなのでしょうか。いきなり、商品のランディングページを作成して配信すれば購入してくれるのかといえば難しいものがあります。
コンテンツマーケティングを成功させるために、はじめに準備するべきことは何か、本記事ではコンテンツ作成のための手順についてまとめました。ぜひ、参考にしてみてください。

コンテンツマーケティングが注目される背景

インターネットの登場による情報チャネルの変化

コンテンツマーケティングは最近になって注目されるようになったように感じますが、コンテンツそのものは以前からも存在しています。顧客が購買行動に至るプロセスには何かしらの情報を得るための行動が存在しました。この時の情報源がコンテンツともいえます。ネットのない時代なら、家族や友人・知人からの口コミや、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディア、営業活動などがあったと思います。

こうした情報源はインターネットの登場で大きく変化しました。インターネットによって、上記のような情報チャネルに加え、コーポレートサイトや商品やサービスの紹介サイト、企業ブログ、web広告、SNSなど、情報チャネルは大きな広がりを見せています。

購買プロセスの変化

消費者の購買プロセスのモデルに「AIDMAの法則」があります。AIDMAとは1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏が著書の中で提唱した概念で、商品を知ってから購買に至るまでの顧客の心の動きのプロセスを段階化した頭文字をとってAIDMA(アイドマ)といいます。
インターネットの登場により、AIDMAを変化させたのがAISASと呼ばれる電通が提唱したプロセスのモデルです。プロセスの中にネットならではの「検索」や「共有」が入っているのが特徴です。

AIDMA
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)

AISAS
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)

チャネルが増えればコンテンツの量も増えます。また検索や共有などのプロセスが入ることで顧客は購買決定に至るまでに検討の時間が長くなりました。また、購入した買い手が商品の使用感や企業の対応などを自ら発信してコンテンツを生んでいきます。
このような情報チャネルの多様化、購買プロセスの変化に対応していくことでコンテンツはより戦略的に活用できるようになったといえます。

コンテンツマーケティング運用の効果

1.収益の拡大

豊富な情報チャネルによって販路や認知を拡大できる可能性があります。ブランド強化や新たな顧客層を取り込むことで売り上げや収益拡大が期待できます。

2.取引先の拡大

営業プロセスにコンテンツを取り入れることで、国や地域を超えて人的リソースが届かない範囲でも営業活動を広げることが可能になります。
特に技術力やサービスなどなかなか目に見えない商材であっても、動画やメディア記事、ブログなどを活用してコンテンツマーケティングを運用することで商材の特徴を訴求することが可能ですし、新規顧客を獲得することもできます。

3.顧客との関係性の強化

コンテンツマーケティングは潜在顧客や見込み顧客に働きかけることができます。そして、すぐに購買行動に至らなかったとしても、継続的にコミュニケーションをとっていくことで深い信頼関係を築いていくことができるのです。いわゆる、自社の「ファン」を増やすことが可能です。
短期的な売り上げには結びつかないかもしれませんが、「ファン」になってもらうことで、優良顧客になってもらえたり、新たなソリューションを見つけることで事業拡大のチャンスもあります。

コンテンツの全体設計をしてみよう

コンテンツ作成のためには、「誰に」「何を」「どのタイミングで」伝えるのかということを決める必要があります。
今回は、コンテンツ作成手順の具体的な7つの項目を紹介します。

進める上で大切なのは最初から全て完璧に埋めようとせずに分かるものから随時埋めていくような気持ちで取り組んでいくこと、チームや関係部署を巻き込んでより多くの関係者と情報を共有しながら進めていくことです。
完璧な設計図を作ろうと意気込むあまり、先に進まない、途中で投げやりになってしまうなどとなるとプロジェクト自体が進んでいくうちに本来の目的を見失ってしまうことになってしまいます。7つの項目も上から順番に埋めていく必要はありません。真ん中から始めたり、2項目同時に行ってみたり、一度埋めてももう一度検討してみたりなど、考えをまとめていくためのシートだと思って使ってみてください。

  1. 目的の確認
  2. 目標設定
  3. 商品特性を確認
  4. ペルソナ設定
  5. カスタマージャーニーマップ作成
  6. コンテンツの要件定義
  7.  KPIの設定

以降から各項目について細かくみていくことにしましょう。

1) 目的の確認

コンテンツを「何のため」に作成するのかを確認します。
顧客にどうなってほしいのか?何をしてほしいのか?などを明確化しておくと作成途中やプロジェクトの推進中に行き詰っても原点に戻ることができます。
2)の目標設定、7)のKPI設定と合わせて考えるとわかりやすいかもしれません。

2)目標設定

目的が明確になったら達成するゴールを数値化します。忘れてはならないのは、コンテンツマーケティングは事業の売上げや受注に貢献することが最終目標ですので最終目標から逆算して設定します。例えば「新規顧客からの受注を〇〇件増やしたい」ということが最終目標として、そのためにアクセス数や問い合わせ数などを何件にするのか決めていきます。

3)商品の特性を確認

自社の商品を「よく知っている」ことが大切ですので、特性をよく把握しておきます。商品を熟知して何を伝えられるのか、顧客にとってのメリットなどをおさえておきましょう。当然この時に何か顧客に対してデメリットとなることがあったり、競合と比較して顧客に対して伝えるべきことがあるようなら、それも合わせて認識し、どのように説明するのか検討しておく必要があります。

4)ペルソナ設定

「誰に」という最重要の部分がペルソナ設定です。ペルソナとはターゲットの姿を明確にするための手法です。ただ、BtoBの場合は企業が相手となりますので個人像を設計することは難しい場合もあります。
この場合は、自分たちの扱う顧客像を明確にしておくのも一つの手です。顧客と一口に言っても潜在顧客、見込み顧客、お得意様まで顧客層は様々です。大切なのは営業部門、マーケティング部門など関係者で認識を統一しておくことではないでしょうか。社内で顧客の名称などを統一化し、定義を共有しておけば、無駄な混乱を防ぐこともできます。
ペルソナ設定については詳しくは
こちらを参照ください。

5)カスタマージャーニーマップ作成

コンテンツマーケティングは顧客の状態に合わせて最適なコンテンツを提供し、どのようなコミュニケーションをとっていくかが大切です。カスタマージャーニーマップは顧客の商材の認知から購買までの行動や心情の変化を旅(ジャーニー)にたとえて時間軸で表していきます。
詳しくはこちらを参照ください。

BtoBの場合、顧客としての企業が複数社あるなど、一般的なカスタマージャーニーのモデルに当てはめにくい場合もあります。
こういう時は売上額の上位企業をモデルケースにしたり、新規顧客企業をモデルケースにしたり、反対に古くからの顧客企業をモデルにして作成してみるということもできます。
数パターンのカスタマージャーニーマップを作成し、コンテンツ企画のたたき台にしてもいいと思います。

6)コンテンツの要件定義

コンテンツの内容、体裁、使用するメディアについて検討します。作成したカスタマージャーニーマップなどを参照して顧客の状態によってコンテンツを作り、最適なタイミングで発信していくことが大切です。
コンテンツはwebサイト、紙媒体資料、音声、動画など様々な種類があります。Webサイトと一口に言ってもコーポレートサイト、製品紹介ページ、ブログ記事やSNS、ユーザーのコメントまで多様です。どの形態のコンテンツが自社にとって、ないよりも顧客にとって最適かを検討する必要があります。コンテンツは一つに絞るのではなく、組み合わせて使うことも想定しておくべきでしょう。

  • 段階によってコンテンツが違う例

 

7)KPIの設定

コンテンツの企画には目的と目標の設定は必須ですが、目標だけを追いかけると成果が出ていない時にどこを改善すべきかわからなくなる場合があります。そのため、目標を達成するためにプロセスの成果指標となる
KPI(Key Performance Indicator)、いわゆる重要業績評価指標を設定しておけば、改善点を見つけやすくなります。
Webサイトのコンテンツマーケティングの場合のKPIは、クリック数や自社運営サイトのセッション数、キーワードからの流入数、直帰率や滞在時間、ページ遷移率やリピート率などがあります。

  • 最終ゴールまでのKPIの事例

最後に

BtoBでコンテンツマーケティングが難しいと感じている企業もまだまだ多いようですが、長期間の運用を前提とし、顧客とのコミュニケーションツールとして力を発揮できるコンテンツマーケティングは、BtoBに向いているとも考えられます。
ただ、成功するために大切なことは自社のターゲットとなる顧客に向けて発信するコンテンツを主軸として作成することです。
コンテンツマーケティングを始めると認知度アップを狙って不特定多数に見てもらいたいと思ってしまいがちですが、コンテンツの見た目がどんなに派手で面白くても、本当に届けたい相手に届いているかどうかは疑問です。逆に時間やコストばかりがかかってしまい、持続的な運用ができないこともあります。
「誰に」、「何のために」という目的を忘れず、PDCAを繰り返しながら顧客とともに成長していくような良いコンテンツ作成を目指していきたいものです。

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