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顧客エンゲージメント最適化のためのポイント

2019年4月11日

「顧客エンゲージメント」という言葉をマーケティングでもよく聞くようになりました。FacebookやtwitterなどのSNSでも「エンゲージメント率」が指標になっています。
今回は、カスタマーエクスペリエンスを高めるための一つの指標となる「顧客エンゲージメント」について簡単に紹介します。

顧客エンゲージメントとは?

英語の「engagement」は日本語では「約束」、「契約」、「婚約」などに訳されますが、セールスやマーケティングで使われる「顧客エンゲージメント」は、製品やサービスを提供する企業と提供される顧客との間で築かれた深い関係性や信頼性を意味します。
顧客エンゲージメントは提供企業と顧客との間に築かれる信頼性や関係性を指しますので、製品を購入していない、サービスを利用していないという顧客との間にも顧客エンゲージメントは存在します。
企業にとって、潜在顧客が製品やサービスに興味・関心を持ち、契約・購入に至るまでのプロセスと、顧客と継続的な契約に繋がるような関係を築いていくことは重要です。
 

顧客エンゲージメントが注目される背景

・製品やサービスのコモディティ化

コモディティ化とは、市場において競合する製品やサービス同士で差別化できる機能、品質、ブランドなどの特性が失われ、価格や買いやすさに比重が置かれていく現象のことです。高付加価値の製品の市場価値が低下してしまい、一般的な価値になってしまうことです。こうした現象は様々な市場で発生し、製品だけでなく技術においても低価格競争が発生しています。

・情報取得の変化

パソコンやスマートフォンが普及し、インターネット環境が整備されたことで情報流通が急激に拡大しました。そのためあらゆる情報を時や場所を選ばずに検索できるようになり、すべてのユーザーが大量の情報を取得できる時代になっています。
ユーザーは製品やサービスを細かく比較検討し、実際に使ってみたユーザーの評価なども確認できるため、その眼は年々シビアになっています。さらに、大量の情報を取得しているため、個人のニーズも多様化し、単純に高品質・低価格には魅力を感じないユーザーも増えているといえます。

・購買プロセスの変化

インターネットの普及は購買までのプロセスにも大きな影響を及ぼしています。一般消費者が店で商品を下見し、インターネットで最安値を探して購入するという購買プロセスは今ではよく聞きます。
BtoBの場合も購買プロセスはデジタル化しています。
たとえば企業がとある製品を導入する際にまず取る行動はインターネットでの情報収集です。BtoB企業の購買プロセスでは買う側の企業は営業担当者と会う時点ですでに購買意思を固めているといいます。
顧客は自らが必要な情報を選択して収集・評価・検討を行ったうえで、オンライン上で意思決定を行うようになり、従来型のマーケティング手法では企業からのメッセージが伝わりづらい状況です。

このような中で、提供側の企業としては適切なタイミングで最適な情報を顧客に届け、意思決定までのスムーズな導線を用意する必要があります。さらにはリードナーチャリングおよび、顧客との長期的な関係性を築いていけるかどうかが重要となってきています。
つまり、顧客エンゲージメントの最適化が必要なのです。
 

顧客エンゲージメントを最適化していくには

1.顧客の行動を知る

エンゲージメント戦略立案で検討の中心とすべき視点は顧客の行動です。企業が顧客との信頼を育くみ、ブランドへの忠誠心を強化するためには、顧客をビジネス戦略の中心に位置づける必要があります。
具体的にはカスタマージャーニーマップなどを作成し、顧客の行動を可視化しておくことでしょう。出来上がったカスタマージャーニーマップから、自社の足りない点を分析し、改善ポイントなどを確認しておきます。

2.デジタルツールの活用

BtoB企業の顧客中心戦略のためには、デジタルツールを通じた顧客エンゲージメントの向上は必要不可欠ではないでしょうか。
BtoBのプロセスは、BtoCよりも長くて専門的で複雑なやり取りを伴うことがあります。デジタルツールを用いることで社内ワークフローの自動化やコミュニケーションの改善なども見込めます。また、複雑な販売プロセスにも対応でき、簡素化し、調整するのに役立つので、BtoB顧客のニーズに応えるエンゲージメントの機会をより的確に特定することが可能です。

取引の進捗状況の追跡、再注文、または実用的な情報やガイドラインの入手などのための簡単なアプリケーションを顧客に提供することもできます。アメリカなどでは、実際にBtoBの顧客専用のクライアントアプリケーションが存在しているそうです。

エンゲージメントの直接的な向上対策としては、オムニチャネル戦略やカスタマーエクスペリエンス戦略などがそれに当たると思います。
つまり、顧客がどのような経路やチャネルでも製品やサービスに接触した際に一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供できる仕組み作りということになります。
 

まとめ

BtoB においても、買う側は購入に至るまでのあらゆる段階において一貫性のあるパーソナライズされた顧客体験を求めるようになってきています。
一方で、売る側の企業の多くは様々なデジタル・タッチポイントを開発していますが、魅力的でシームレスなオムニチャネル体験を提供するという点においては、既存のチャネルと新しいタッチポイントをつなぐことに苦労しているという現状もあります。
顧客エンゲージメントの重要性を理解しているものの、データ、およびプロセスが縦割りになっていることが、エンゲージメントを高める阻害要因となっている企業も多くあるようです。

ただいきなり新たなツールや手法を導入しても機能しない場合もあります。まずは、自社の仕組みや既存のツールなどを確認して顧客視点から再点検してみることではないでしょうか。
ツールの導入も最低限のセットからスタートしてPDCAを回しながら拡張していく方が持続可能です。また、営業部門とマーケティング部門でリードの質やターゲットについて認識を合わせておくのもいいと思います。

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