2018年11月6日
今回紹介するのは、伝説のマーケターといわれるシュガーマン氏の著書『シュガーマンのマーケティング30の法則』です。
マーケターとして蓄積した豊富な経験をベースに心理学に基づいたマーケティングノウハウを自身の体験談をまじえながら、わかりやすく解説してくれています。
顧客視点やOnetoOneマーケティングが注目される今、顧客心理にどうせまっていけるかはとても重要です。本書では顧客心理をどう理解していけばいいか、すぐにでも実践できるような具体的なポイントが紹介されています。
『シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは』
ジョセフ・シュガーマン (著), 佐藤 昌弘 (著), 石原 薫 (翻訳)
本記事では、シュガーマン氏の30の法則の中で注目すべき心理的トリガーをまとめています。本に興味はあるけど忙しくて読めない、という方のためにこの記事をざっと読むだけでも実践できるようにまとめてみました。もちろん、この記事をきっかけに本を手にとってみるのもいいでしょう。
もし、気になるポイントや使えるかなという項目が出てきたら、その項目だけでも読んでみてください。そして一番気になった項目からぜひ実践してみることをオススメします。
注目の心理的トリガー 18選
いったん購買決定をしたお客は「ついで買い」をするなど、最初の購買行動と一致した行動を取り続けようとする。
見込み顧客を顧客にするために重要なこととして、
・ どれほど小さい買い物でも購買決定をこれ以上ないほど簡単にしてあげること。
・ 顧客のニーズに寄り添うこと。
をあげています。
いったん購入すると決めればその決定に沿って人は行動するという心理がはたらきます。そのため、具体的なポイントとしては、買い手が購入を決めた瞬間に他の商品を勧めてみる、購入を決めた顧客に付属品や関連商品などを勧めてみるなどをすると合わせて購入してくれる確率が高いということです。
どんな商品にもそれぞれの特有の性質や個性があり、お客が共感できる特徴がある。
自分が売ろうとしている商品やサービスの特徴や個性を熟知して、そこに顧客の求めるニーズとの接点を見出せば、強いアピールポイントとなるということです。
売ろうとしている商品の適切なアピールポイントを見極めるための2つのポイントを紹介しています。
お客を知ること。何がお客を買う気にさせるのか。
見込み顧客に関する情報をできるだけ集め、どのようなニーズがあるのか感情的、合理的な側面から検討することの重要性を紹介しています。最近では見込み顧客の情報を集めて管理するMAツールなどもたくさんあります。そうしたツールなどを活用して情報を集め、分析するのもいいと思います。
もし致命的な欠点があるのなら、広告やコピーや売り込みで、あなたの商品の欠点や難点を真っ先に伝えなければならない。
欠点やマイナス面を最初に告知することで、顧客の警戒心を解き抵抗感を抑えてくれることができるということで大変重要だと強調しています。
最初の段階でマイナス面となる特徴を取り上げていくことはその後、顧客と固い信頼関係を築いていける可能性さえあるということです。
広告コピーまたはセールスの初めに、お客の感じる抵抗感を取り上げたら次にそれを克服すること。
前の項目のマイナス面を告知した後はそこで顧客が感じた抵抗感を取り除く必要があります。そのための具体策として次の2点を紹介しています。
客に話しかけるときは、あたかも相手があなたの商品を所有しているかのように話す。
体験型や巻き込み型の広告手法です。見込み顧客がその商品を自分のものにした時のイメージや、サービスを受けているシーンなどを想像することができるようなアプローチです。対面販売だけでなく、広告コピーなどでも効果を発揮します。
物語はセールスに人間味を与え、あなたとお客をつなぐ役割を果たす。
商品やサービスについて、新しさや開発経緯など顧客が関心を持ちそうなストーリーを見つけ出して使ってみることを提案しています。プレゼンテーションの時など、合間にエピソードを入れれば変化とリズムをうむことができ、聞く側が感情移入することができます。
その分野の専門家とされる人や企業から商品を買うことができれば、お客にとって大きな価値となる
専門家や国の認定、受賞歴などの「権威づけ」は商品に付加価値を与えるものとして今ではweb広告などでもよく使われています。
顧客が商品を買うときは論理的、合理的にというよりも感覚的なことを優先していると述べています。広告コピーも「顧客が買いたいと思う感覚的な理由」を取り入れて書くことをすすめています。2の適切なアピールポイントで紹介した商品の特性や商品が持つ感覚的魅力を理解してそれをコピーやセールスに活用できれば、購買決定につながるとしています。
感覚がお客の買うきっかけならば、理屈は正当化するためのもの。
「感覚」とセットになると思いますが、理屈は感覚的に「これを買おう」と決めたことに対して、論理的な理由で正当化して購買決定を後押ししてあげることになります。「これを買うことは適切な判断だった」と納得させてあげるための論理的な説明があると、顧客の満足度が増すのだそうです。
人が特定の商品やブランドを買うのには、ブランドをすでに所有している人たちの仲間入りをしたいという強い心理的理由がある。
見込み顧客がどんなグループに属しているのかを見極める作業です。セグメント化する作業とも言えます。セグメント化ができればその見込み顧客にどんなニーズが発生するのかを見つけ出し、商品との接点を探ることになります。
購買をうながすには切迫感を使い、先送りさせないこと。
買い物でよく店員の方から「今日まで割引です」「在庫が1点しかありません」などというフレーズを言われることはないでしょうか。今すぐ買ってもらうための動機や理由付けのありがちなセリフです。
セールスでは「考えさせてください。と言った見込み顧客はもう買わない」とも言われています。先送りされないために何とか引き止めための手段として「切迫感」という方法があると紹介しています。切迫感という方法を使うための注意点が2点あげられています。
単純明快さは極めて重要で、提案が持つ複雑さの分だけ販売効率は下がる。
「単純明快さ」をもっとも重要な心理的トリガーの一つとして取り上げています。顧客が理解しやすいようにメッセージや商品説明をいたずらに飾ったり、難しいものにしないでシンプルにすべきだということです。
「ギブ・アンド・テイク」とも呼ばれるこのトリガーの、よくある手法としては顧客にちょっとしたプレゼントやプレミアムグッズを贈るなどがあります。贈り物を受け取る側が自然と罪悪感を抱き、何か借りたような気になって「お返し」として商品やサービスを注文するという流れです。
具体的には、顧客が企業に愛着や恩を感じて何かを買いたくなるようなサービスを提供できるかどうかを検討してみるということではないでしょうか。
具体性のあるコピーは非常に信憑性が高い。
事実を具体的に列挙しておくと、商品やサービスについて信頼性や信憑性が高まります。一般論ではなく具体論、概算ではなく実際の数値を表記することで、信頼度が高まることは間違いありません。
いつでも使えるわけではないけど、適切に使うと効果を発揮する心理的トリガーがあります。
商品の価格を下げ、商品に対して感じる価値を高めると物は売れる。
「強欲」という強烈な名前のついた心理的トリガーですが、適切なタイミングであれば効果を発揮します。
ただ安かっただけで必要もないのに買ってしまう、ということはよくあることだと思います。この心理的トリガーは、「安い商品を売る場合」や「高い商品を安売りする場合」に使えます。
具体的には「お客が期待する以上のお買い得感を与える」ことがポイントだと紹介しています。
商品の性質によって可能となる心理的トリガーです。「限定品」「稀少品」「オリジナル品」など、自分が購入するもは特別だというのは感覚的な購買決定の強い動機付けになります。
本書の中では、扱う商品やサービスを「限定品」「希少品」「オリジナル品」にするためにできることはないか、想像力を働かせて10通り考えてみようとあります。
全ての心理的トリガーの中で最も強力なものの一つ
最後を締めくくる心理的トリガーの「正直さ」を、著者は「どの心理的トリガーよりも成功に役立つ」として最も重要であると述べています。
心理学的アプローチには「大切だと思うことは言い方を変えながら、何度も言うことで影響力が強まる」という手法がありますが、本書でも一貫して見込み顧客や顧客に対して、「誠実」「信頼」「嘘をつかない」「言行一致」「正直」などのキーワードが何度も出てきました。顧客と常に正直なコミュニケーションを心がけていく中に、成功のチャンスはあるということを教えてくれています。
『シュガーマンのマーケティング30の法則』にはその他、「親近感」「好奇心」「期待感」「市場とのマッチング」などいくつもの心理的トリガーが紹介されています。
心理学的アプローチをマーケティングで使うときは、最初から得た知識の全てを詰め込みすぎないことが大切です。一つでもいいのでできそうな項目や、現在の施策とマッチしている項目、またはなかなかPVやCVが伸びないwebサイトなどから試してみてはいかがでしょうか。ちょっとした変化で成果が劇的に変わる場合もありますので、実践してみてください。
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