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インサイドセールス導入と定着化に必要なポイントを紹介

2019年1月22日


 

インサイドセールスという営業スタイルが年々、注目を集めています。多くの企業が導入や定着化を進めようとしています。インサイドセールス はアメリカ発祥の営業スタイルで近年になって日本にも普及しはじめました。このため、ノウハウがまだ定着しておらず、導入したくても何から手をつければいいのかわからないという企業も多いようです。
既存の営業スタイルがある場合は様々変化させるには難しい場合もあります。また、とりあえずインサイドセールス を初めて見たものの、結局定着しなかったというケースもあるかもしれません。
今回は、導入から定着化まで何をポイントしておけばいいのかを紹介します。
 

インサイドセールス とは?

まず、おさらいも兼ねて「インサイドセールス 」とは何かを確認したいと思います。

インサイドセールスとは、マーケティング活動と営業(販売・提案・受注)活動をつなぐ非対面の営業活動を指します。また職種のことを指すこともあります。 
ENGINEコラム 「インサイドセールスとは」より

反対に、実際に訪問し、対面型のコミュニケーションを取る営業はフィールドセールスと呼ばれます。
インサイドセールスはテレフォンアポインター(以下テレアポ)と間違われることもよくありますが、決定的な違いがあります。インサイドセールスが電話だけに限らず、メールやwebなどの幅広い手段を取るというのもそうですが、何よりも、インサイドセールス は見込み顧客の育成を目的としているところがテレアポとの大きな違いです。「見込み顧客の育成」いわゆるリードナーチャリングを行い、顧客との長期的な関係を築いていくことがインサイドセールスの大きな特徴です。
 

フィールドセールスとは?

上記にもある通り、フィールドセールスとは訪問営業のことです。これまでの営業手法はフィールドセールスの分類に入ると思います。フィールドセールスは対面型の営業ですので、インサイドセールスで育てたリードに対し契約に向けての交渉やクロージングしていくための手段と言えます。
 

インサイドセールス導入に必要なポイント3つ

インサイドセールスをスタートするにあたり、準備しておくとよりスムーズに導入から定着化に進められる手順を紹介します。一般的な手順の紹介となりますので、自社の扱う製品やサービスに合わせて柔軟に変化させてみてください。

1.体制を整える

インサイドセールスは先述した通り、「リードナーチャリング」が目的です。ではリード(見込み顧客)は誰が集めるのでしょうか?リードを集めるチーム、または部門が必要となります。それがマーケティング部門です。マーケティング部門で見込み顧客を集め、インサイドセールス 部門で集めた見込み顧客を育て、フィールドセールス部門でクロージングしていくというのが一般的な流れになります。
3つの部門またはチームをそれぞれ独立して立ち上げる場合もありますが、最近ではマーケティング部門の中にインサイドセールス チームを作る企業もあります。事業を立ち上げたばかりの時は、リードの情報を集め、管理し、分析していくことにポイントが置かれると思うので、マーケティング部門の中にインサイドセールス チームがあると連携も取りやすく、育成までの見込み顧客の流れもわかるのでいいかもしれません。
定着化してきた企業ではインサイドセールス 部門の中を2チームに分けて、見込み顧客の中でもこれから関係性を築いていくチームと、フィールドセールスに渡していく顧客を扱うチームとに分けていくような企業もあります。
また、営業部門の中でインサイドセールス とフィールドセールスのチームに分ける場合もあります。営業部門の中で既に顧客情報が集められている場合は、溜まっている顧客情報やどのような見込み顧客が成約まで至ったのか、また至らなかったのかなどの情報をインサイドセールス 部門で集約するところから始めるという企業もあります。
人員が少ないのに、いきなり3部門も作れないという場合もあるかもしれません。そういう場合はインサイドセールスの業務を外注する企業もあります。窓口を自社の中におき、電話をかける人員を外注して定期的に連携を取りながら行うということも可能です。また、メールやwebであれば、マーケティングオートメーション などのシステムを使って、ある程度のところまではシステム化することもできます。
インサイドセールスは少ないリソースで効率よく見込み顧客に関わることができるのが良さですので、最初から人数をたくさん集める必要はありません。
1〜2人体制でスタートした企業もたくさんあります。インサイドセールス はある程度の時間が必要ですので、少人数でスタートして専門知識や経験を積み、仕組みを作っていきながら自社に最適な陣容を整えるという場合もあります。
次の役割分担を明確にした上でどのチームに何人必要か検討するのもいいでしょう。

マーケティングオートメーション についてはこちらの記事を参考にしてください。
マーケティングオートメーション ツール31選
マーケティングオートメーション とは?機能と導入のポイント

2.役割分担を明確にする

マーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門で役割分担を明確にします。どの顧客ステータスをどの部門が担当するのか、明確にしておきます。
基本的な例としては、まず見込み顧客の獲得をマーケティング部門で行います。扱うサービスや製品によって、マーケティングの手法は様々だと思いますが。オウンドメディアなどを使ったコンテンツマーケティングであれば、メルマガ登録、お問い合わせ、会員登録、資料ダウンロードまでがマーケティング部門、インサイドセールス部門で登録してくれた見込み顧客に対し、それぞれのニーズに合わせてサンクスメールやイベント、セミナーのお誘い、興味のあるテーマに関する情報の発信や電話での営業など見込み顧客を案件につないでいく施策を実施します。案件につながりそうな見込み顧客については、フィールドセールに渡していきます。フィールドセールス部門はマーケティング部門、インサイドセールス部門から引き継いだ顧客情報をもとにクロージングに向けて営業活動を行います。
ここでインサイドセールス部門からフィールドセールス部門へどの段階で渡すのか、明確に決めておくと効率化も進みます。例えば「BANT情報のうち2項目まで埋まればフィールドセールスに渡す」といったようなルールがあると混乱がなくスムーズです。

顧客ステータスについてはこちらの記事を参考にしてください。
顧客化プロセス・顧客心理・営業活動・顧客分類をまとめました

BANT情報についてはこちらの記事を参照してください。
BANT情報のつかみ方

上記はあくまでも基本事例です。業種や企業によって営業スタイルの違いがあるのでそれぞれに合った方法を考えていきましょう。まずは既存の業務内容を洗い出し、それぞれ吟味したうえで割り振っていけば、漏れなどを防げます。

3.目標(KPI)を設定する

KPIはマーケティング、インサイドセールス 、フィールドセールスの部門毎に設定しておきます。
業種や企業でKPIが違うのは当然なので、一般的な事例として紹介すると、マーケティング部門は見込み顧客の獲得数がKPIとなります。インサイドセールス はフィールドセールスにわたす顧客数または案件数、インサイドセールス部門の担当範囲にもよりますが、アポイントの件数や既存顧客に対してなら契約数や売上金額という場合もあります。フィールドセールスは受注数や売上金額になると思います。
 

インサイドセールスを定着化させるために

1.リードナーチャリングの仕組み作り

インサイドセールス はリードナーチャリングが大きな目的です。そして、案件や商談に結びつくような顧客との関係を築かなくてはいけません。そのためには顧客のニーズや課題を掴む必要があります。顧客が自社を必要としてくれるためにどうすればいいのか、ニーズや課題解決のための情報を提供するためのメール配信やオウンドメディア、電話での営業などを用意します。
マーケティング部門、フィールドセールス部門との情報共有も欠かせません。
これまでの営業部門が培ってきた経験や個人が持つ情報はインサイドセールス にとってはある意味「宝の山」です。情報の収集には時間がかかるかもしれませんが社内でヒヤリングなどを行い、データ化されていない顧客情報もすべて集めるような意気込みも大切です。
また、フィールドセールスに引き継いだ後の状況を定期的に入手できるようにしておくことも必要です。どのようなナーチャリングをした顧客が受注に結びつくのか、または受注に結びつかなかったのかを把握して改善へと結びつけていきます。

2.PDCAの仕組み作り

インサイドセールスでは顧客の課題に応えるオウンドメディア、メール、メールマガジン、電話での説明など、さまざまなナーチャリングの仕組みを用意して、見込み顧客に働きかけます。働きかけの結果、顧客の関心や気持ちがどう変わったのか何が顧客に響いたのか、逆に響かなかったのかなどの情報を収集し、見える化する仕組みづくりが大切です。
仕組みができれば、ナーチャリングを改善してさらに質を高めることも可能です。顧客ごとの反応を調べれば、それぞれの顧客が何を課題としているのか、どんな情報を求めているのかを探っていくこともできますし、顧客それぞれのニーズがわかれば、個別により適切な情報を提供していくことができます。
そして、立ち上げ時にはなるべくPDCAを細かくまわしてこまめな修正や改善を行っていべきではないでしょうか。インサイドセールス で成果を上げるには量と質の両方を高めていく必要があります。そのためにも短いスパンでPDCAをまわしながら試行錯誤を繰り返していくことが成果を大きく上げることにつながると思います。

3.社内連携の仕組み作り

インサイドセールス は顧客の声を実際に聞くことができる部門です。インサイドセールス 部門に集まった顧客の声を社内にフィードバックする仕組みを作っておけば、マーケティング部門、フィールド部門、他の事業部にも大きく貢献することができると思います。ある企業ではお客様サポートセンターに集まった問い合わせの中から行き詰まった事業の活路を見出し、トークスクリプトを改善したところ、解約数が激減したという事例もあります。やがてこのお客様サポートセンターはマーケティング部門に吸収されたということです。
顧客情報を共有し、各部門がそれぞれの担当でその情報を活用できれば、会社にとっても顧客にとってもベストではないでしょうか。インサイドセールス部門は各部門の橋渡しとして存在することが可能です。インサイドセールスチームがフレキシブルに動ける柔軟な組織や雰囲気を作ることができると理想的かもしれません。
 

まとめ

インサイドセールスは営業手法の一つという視点で注目を浴びていますが、顧客とのコミュニケーションの質と量を高めるための組織づくりの手法であるとも言えます。そう考えるとどんな企業や業種でも、案件創出や成約率を上げるためにインサイドセールスの活用は可能なのではないでしょうか。導入ポイントや定着化のための視点を参考に、まずは自社の現状分析を行い、最適な組織づくりを目指してみてください。

現状分析についての記事はこちらも参考にしてください。
BtoBマーケティングで最初に取り組むべき2つのステップ

インサイドセールスの導入効果についてはこちらの記事を参考にしてください
競争に勝つためのインサイドセールス
営業戦略を実現するためのインサイドセールス

導入設計の概要はこちらを参考にしてください。
インサイドセールス 導入の概要設計

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